結膜の病気

結膜炎

結膜炎結膜とは、上下にあるまぶたの裏側と、眼球の白目(強膜)を包んでいる半透明な膜です。通常、結膜は涙の機能のおかげで、目に有害な物質(細菌やホコリ、ウイルスなど)から保護されています。しかし、何らかの理由でそれらが目の中へ入ってしまうと、結膜が炎症を起こしてしまいます。この状態「結膜炎」です。
結膜炎が軽めの場合は、適切な方法で点眼薬を用いれば、数日のうちに完治できます。しかし「はやり目(流行性角結膜炎)」の場合は、放っておくと黒目(角膜)が濁って視力低下を招く危険性があるため、迅速な治療が不可欠です。
「白目・まぶたの裏側が充血した」「黄色くてネバネバした濃い目やにが出る」「目がかゆい」などの症状でお悩みでしたら、速やかに当院へご相談ください。

治療

抗菌薬またはステロイドの点眼薬を処方します。うつる可能性のある結膜炎の場合、感染力が失われたと医師が判断するまでの間、登園・登校・通勤はできません。
うつるリスクがない結膜炎につきましては、抗菌薬の点眼で治していきます。細菌のタイプによっては、軟膏や内服薬を用いることもあります。

結膜下出血

結膜の下を通る毛細血管が破れることで、内出血が起こってしまった状態です。毛細血管が拡張して浮き出る「充血」とは違い、白目の部分がべったりと真っ赤に染まります。
軽度でしたら、白目の一部分のみ赤く染まります。しかし重度になると、白目全体が真っ赤に塗られたように染まります。眼球内に血液が入り込むことはないので、視力低下や視野狭窄は引き起こされません。自覚症状が目立たないため、周りの人から言われたのをきっかけに自覚される方も珍しくありません。
治療を受けなくても症状は良くなりますが、一般の方が他疾患と見極めるのは非常に難しいため、眼科への受診をおすすめいたします。

治療

発症してから1~2週間経つと自然と治ります。
※ただし、血液をサラサラにさせる薬を飲まれている方ですと、治るまで1ヵ月ほど要する可能性があります。

結膜弛緩症

通常、結膜は、眼球が上下左右に動かせるように程よく緩んでいます。この緩みが何らかの原因で強くなってしまう疾患を「結膜弛緩症」といいます。
眼球の運動やまばたきによって、緩んだ結膜が過剰に動いてしまうため「目のショボショボ感・ゴロゴロ感がある」「涙が止まらない」「目の充血」などの症状が現れます。
また、結膜弛緩症はドライアイの原因にもなります。結膜が緩み続けると、緩んだ結膜に涙が蓄積されるため、角膜に涙が届かなくなります。それによりドライアイが起こるのです。また、ドライアイをきっかけに結膜弛緩症になるケースも珍しくありません。ドライアイにお悩みの方は結膜弛緩症にも気を付けましょう。

治療

点眼薬を用いて症状を軽減させたり、手術で緩みを緩和させたりする方法があります。

翼状片(よくじょうへん)

翼状片結膜の下の組織が、必要以上に増えてしまうことで、結膜が角膜(黒目)の部分まで覆われてしまう疾患です。通常、角膜の部分には血管が通っていません。しかし結膜が被さることで、まるで目が充血しているかのような見た目になります。主な症状としては、目の充血や違和感が挙げられます。さらに悪化すると、強度の乱視も伴います。
「屋外で仕事またはスポーツをすることが多い方」「長年コンタクトレンズを装用してきた方」にかかりやすい疾患ですが、発症原因はいまだによく分かっていません。しかし、紫外線が発症に関与しているのではないかと言われています。

治療

良性腫瘍ですので、初期段階では放っておいても大丈夫です。目のゴロゴロ感、異物感、充血などでお困りの場合は、点眼薬で症状を落ち着かせることも可能です。ただし「目の違和感や異物感がひどくて生活や仕事に支障をきたしている」「乱視もある」などの場合は、速やかに受診することを強く推奨します。症状の度合いよっては、手術を余儀なくされるケースもあります。

季節性アレルギー性結膜炎(花粉症)

季節性アレルギー性結膜炎(花粉症)春になると毎年、目のかゆみや充血、涙と共に、くしゃみや鼻水に悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか。これらは、花粉をアレルゲンとするアレルギー症状です。症状が目だけでなく鼻や喉などに起こることもあるため、「どの症状がご自身にとって辛いのか?」を基準に、眼科や耳鼻咽喉科などに相談して治療を受けることをお勧めします。
目は口と違い、マスクなどを使って保護できる部位ではありません。もちろん花粉症用の眼鏡やゴーグルなども販売されていますが、通気性に優れている訳ではありません。そのため「長時間着け続けるのは辛い」と思われる方も多くいらっしゃいます。
また、コンタクトレンズを着けている方は、花粉症によって目の充血が悪化する方も少なくありません。目の症状でお悩みの際は、ぜひ当院へご相談ください。

治療

花粉が飛び始める数週間前の時期から、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を用いた治療を始めていきます。まずスギ花粉を例に挙げましょう。スギ花粉は関東ですと1月中旬頃から治療を始めると、高い治療効果に期待できるとされています。ご自身のアレルゲンとなる植物が判明できていましたら、その花粉情報についてリサーチし、飛散し始める数週間前ぐらいまでにお越しいただければと思います。

通年性アレルギー性結膜炎

ダニやハウスダストをはじめ、薬品や金属などのアレルゲンによって起こるアレルギー性結膜炎です。また、通年性アレルギー性結膜炎の中には、小学生の男の子に多く見られる「春季カタル」もあります。春季カタルとは重度のアレルギー性結膜炎のことで、激しい目のかゆみや糸を引くような目やになどの症状が起こります。「春季」とついていますが、季節を問わずに発症します。目のかゆみがあるとつい擦ってしまいたくなるのですが、症状が悪化する恐れがあるので、早めに眼科を受診することをお勧めします。

治療

症状に応じて、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などを処方します。また、点眼薬だけでなく、点鼻薬(副作用の少ないステロイド薬)や内服薬を出すこともあります。内服薬の中には「眠気が出る」という副作用が現れる薬もありますので、仕事や学業などに集中したい方はぜひお気軽にご相談ください。できる限り、ご希望に合ったものを処方します。
また、目が乾きやすい方には、涙の成分を補う点眼薬なども処方します。